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キャリア・マネジメントとは?

更新日:5月25日

キャリア自律が拓く新しい時代のマネジメントについて解説します。


H・ミンツバーグは著書「マネジャーの仕事」の中で、マネジャーは10の役割を担い、10の役割は①対人関係 ②情報伝達 ③意思決定関係の3つに大別できると説明しています。本文では①対人関係の役割について、新しい時代のマネジメントを解説します。


今なおパワハラが絶えない理由

これまでのマネジメントは「管理」「指揮命令」「統制」といった認知が強くあり、「上司が部下を動かす」「従わせる」といったヒエラルキー型の発想が中心でした。今なおパワハラ問題が絶えないのは、こうした捉え方が支配している証拠とも言えます。

マネジメントの目的を果たすためには、時に「管理」「指揮命令」「統制」は必要ですが、もはや「部下を動かす」や「従わせる」必要は無い、というのがまずお伝えしたい結論です。

なぜなら「動かそう」「従わせよう」とする心の姿勢は、部下の自律性を奪うからです。

P.F.ドラッカーは著書「明日を支配するもの」の中で、個人は自らの強みを知り、成果を出すためにどう働くかを自分で考え実行するべきであると述べています。


仕事とキャリアは不可分

個人にとっての仕事は、単なる労働ではなく“キャリア”そのものです。個人のキャリアは日々の仕事の中で形成されていくため、「仕事」と「キャリア」は不可分ですから、マネジャーの中心的な役割は「成長機会の設計者」とも言えます。部下のキャリアビジョンと成長課題を把握した上で、能力発揮と啓発的な経験の両方を満たす機会(仕事)を与えることが極めて重要なのです。


啓発的な経験とはキャリア・アンカーを発達させること

啓発的経験とは、強い感情を伴う経験のことです。衝撃や感動、時には葛藤や苦痛を伴うこともありますが、「自分を変える」きっかけとなり、結果としてキャリア観や価値観に深い気づきをもたらします。

キャリア・アンカーとは、組織内キャリアを形成するための職業的自我を8つの切り口で表現したもので、自分が働く上で重視する価値観や動機づけを明らかにする概念です。

一般的には「現在、自分が何に価値を置いて働いているのか」を知るためのツールとして理解されていますが、それだけではありません。将来のありたい姿を思い描いたときに、「その姿に到達するには、どのような価値観や動機づけを自分の中に育てていく必要があるのか」を逆照射してくれるという点でも、キャリア・アンカーは非常に示唆に富んだ概念です。


キャリア・マネジメントとは部下の羅針盤を共有すること

キャリア・アンカーは「現在地の地図」であると同時に、「未来へ向かうための羅針盤」としても機能します。だからこそ、上司が部下のキャリア・アンカーを理解することは、単に今の適性に合わせて仕事を割り振るためではなく、部下が将来に必要とする力を育てるために、どのような経験を与えるべきかを考える出発点になるのです。

上司は部下のキャリア・アンカーの発達を支援するという視点を持ち、成長機会の設計者としての役割を担う。これこそが、キャリア自律を前提とした新しい時代のマネジメントなのです。




 
 
 
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