「従業員の組織に対するエンゲージメント」は高い方が良い。
これに異を唱える人は少ない。今や重要な経営指標という認知は定着していると言えるのでしょう。一方でエンゲージメントを高めたからといって、直接業績が上がるものではないことは周知の事実でもあります。
では、1_エンゲージメントって一体何?2_どう扱えばいいのか?3_キャリア自律と何の関係があるのか?そんな問いについて解説します。
十把一絡げは厳禁
HRテックは進み組織診断や従業員調査と表して、エンゲージメントを定量化するサービスは各社から提供されています。立教大教授の中原淳氏は著書「人材開発・組織開発コンサルティング」の中で”不毛な従業員調査の存在”を指摘しています。

一般的にエンゲージメントを構成する因子は複数で、回答者の主観をスコア化し組織別や年代、階層別に集計される場合が多い。これらの数字を並べて高低を評価することにほぼ意味はありません。
また複数の因子について総花的にスコアを高くすれば良いものではないのです。
重要なのはどのような社員とエンゲージする必要があるのかということです。エンゲージメントを追跡&調査するからには、是非この問いには明確な解を持って欲しいと思います。
新陳代謝は重要
労働市場の流動化は今後も加速していく。今後の組織開発に求められる最重要テーマは新陳代謝の在り方ではないでしょうか。自社にとって「健全な新陳代謝はかくあるべきか」を経営者や人事部門は問い、モニタリングすることがこれまで以上に重要になると思います。
つまり自社が「エンゲージし続けたい人財」は誰なのか?を問い続けることです。

「エンゲージできない人」が退社するのは良し、「エンゲージし続けなければならない人」が離職してしまうならば、緊急事態と捉えて即座に手を打つべきなのです。
しかしながら「個人の選択の自由」を理由に、なおざりのままにしてしまう部門責任者は少なくない。相変わらず、人の補充を人事部門へ要請するだけで組織の本質的な問題は解消しないという事例は珍しくないのです。
エンゲージメントとは相互依存の関係
「大谷翔平とキャリア自律」と題したブログで、キャリア自律とは「個人と組織の相互依存の関係」になることと解説しています。大谷翔平はキャリア自律経て、ドジャースとエンゲージメントを交わしました。オプトアウト(契約破棄)に厳しい条件を付けていますから相互依存の関係が保持される間は、大谷翔平はドジャースの勝利のための努力を惜しまないのでしょう。
大谷翔平はチームの勝利のため、球団はワールドシリーズ優勝という大谷翔平にとってのキャリア充足のための努力を双方が果たすということが、相互依存の関係を意味します。こうした両者の相互依存の関係は私たち個人と企業組織にも言えるのではないでしょうか。
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